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函館の夜は地元民が通う海鮮居酒屋で決まる

2026-05-08·10 分で読める
函館の夜は地元民が通う海鮮居酒屋で決まる

# 函館の夜は地元民が通う海鮮居酒屋で決まる

函館に来たら朝市で海鮮丼、それで満足していませんか? 実は、この街の本当の魅力は日が沈んでから始まります。10年以上函館に通い詰めた筆者が、地元の友人たちに教わった「夜の函館」の楽しみ方を、惜しみなくお伝えします。

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## 朝市だけじゃない:函館の海鮮は夜が本番である理由

函館朝市は確かに素晴らしい場所です。でも、地元民に「朝市よく行く?」と聞くと、たいてい苦笑いされます。理由はシンプルで、朝市は観光客向けの価格設定になっているから。海鮮丼が2,500〜3,500円というのは、地元の感覚では「ちょっと高い」のです。一方、夜の居酒屋では、その日の午後に津軽海峡や噴火湾から揚がったばかりの魚介が、刺身盛り合わせ1,200〜1,800円程度で出てきます。しかも、朝市では出会えない「夜だけのネタ」があります。たとえば活イカの刺身。函館名物の真イカ(スルメイカ)は6月〜12月が旬ですが、居酒屋では目の前の水槽から引き揚げて捌いてくれる店があり、透き通った身のコリコリ感は朝市の加工済みイカとはまるで別物です。

> **地元の豆知識:** 1月〜5月はスルメイカが禁漁期に入るため、この時期に「活イカあります」と書いてある店はヤリイカを提供しています。ヤリイカはヤリイカで甘みが強く、地元民はむしろこの時期を楽しみにしている人も多いんですよ。

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## 地元民が足繁く通うエリアは大門・五稜郭の路地裏

函館の夜の中心地は大きく分けて2つ。函館駅前の**大門エリア**と、市電で15分ほどの**五稜郭エリア**です。観光客は駅前の大門に集中しがちですが、地元民が本当に通い詰めているのは五稜郭の本町エリアの路地裏。特に「五稜郭公園前」電停から徒歩5分圏内の小路には、カウンター8席だけの小さな居酒屋がひしめいています。大門エリアなら「居酒屋めし 蔵よし」(刺身盛り980円〜)は観光客にもわかりやすく入りやすい。五稜郭エリアなら「海鮮酒房 海よし」や「魚まさ 五稜郭総本店」(お通し付き飲み放題コース4,000円前後)が地元客率の高い店です。目安として、店の外に英語メニューの写真が貼られていない店ほど、地元率が高い傾向があります。

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## 注文で差がつく!常連がやっている頼み方と旬のネタの見極め方

居酒屋に入ったら、まずメニューではなく**壁やホワイトボードの手書きメニュー**を見てください。常連はグランドメニューをほとんど開きません。手書きメニューに「本日入荷」と書かれたものが、その日一番新鮮なネタです。函館の居酒屋での鉄板の頼み方はこうです。まず「今日のおすすめ何ですか?」と店員さんに聞く。次に刺身は「盛り合わせ」ではなく**「おまかせで3点」**と頼む。盛り合わせは定番ネタで固められがちですが、おまかせにすると店主がその日の自信作を出してくれます。旬の目安として、春はソイ・ホタテ、夏は真イカ・ウニ、秋はサンマ・鮭、冬はタチ(タラの白子)・ゴッコ(ホテイウオ)。特に**12月〜2月のタチの天ぷら(500〜700円)** は函館でしか味わえない冬の絶品です。

> **裏技:** 「少しずつ色々食べたい」と伝えると、ハーフサイズで出してくれる店が多いです。日本語で「半分の量でお願いできますか?」と言うだけでOK。常連はこうして5〜6品を少量ずつ頼んで、色々な味を楽しんでいます。

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## 観光価格を避ける:地元客と同じ値段で飲み食いするコツ

函館に限らず、観光地の飲食店には「観光客価格」が存在します。これを避けるための具体的なポイントをお伝えします。まず、**金森赤レンガ倉庫周辺と函館山ロープウェイ乗り場付近の飲食店は避ける**こと。立地代が上乗せされています。次に、予算の目安ですが、地元民の居酒屋での一人あたりの支出は「飲み物3〜4杯+料理3〜4品で3,000〜4,500円」が相場です。これを大幅に超える店は観光客向けの可能性が高い。また、函館では「サッポロクラシック」(北海道限定ビール、一杯500〜600円)を頼むのが地元流。瓶ビールより生ジョッキのクラシックを頼むだけで、なんとなく「この人わかってるな」という空気になります。会計時に出てくる「お通し代」は300〜500円が普通で、これは日本の居酒屋文化の一部なので、ぼったくりではありません。安心してください。

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## 深夜の〆文化:居酒屋のあとに地元民が向かう場所

居酒屋を出るのが22時〜23時。函館の夜はここで終わりません。地元民には確固たる**「〆(しめ)」の文化**があります。函館の〆の王道は、意外にもラーメンではなく**「〆パフェ」と「やきとり弁当」**です。〆パフェ文化は札幌発祥ですが、函館にも広がっており、五稜郭エリアの「プティ・メルヴィーユ」では深夜まで美しいパフェ(800〜1,200円)が楽しめます。もう一つの選択肢がハセガワストア(通称「ハセスト」)の**やきとり弁当(490円〜)**。「やきとり」と言いつつ中身は豚肉の串という函館独特の食文化で、注文を受けてから焼いてくれるため、深夜でもアツアツ。大門店は深夜まで営業しており、居酒屋帰りの地元民がふらっと立ち寄る姿は函館の風物詩です。もちろん定番のラーメンなら「星龍軒」や「滋養軒」の塩ラーメン(700〜800円)が、あっさりしていて酔った胃に沁みます。

> **地元の豆知識:** ハセガワストアのやきとり弁当は、注文時にタレ・塩・塩ダレの味付けを選べます。常連の一番人気は「タレ」ですが、通は「塩ダレで海苔多め」と注文します。この「海苔多め」が無料でできることは、観光客にはほぼ知られていません。

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函館の夜は、ガイドブックを閉じてからが本番です。路地裏の暖簾をくぐり、カウンターに座って「おすすめ何ですか?」と聞く。それだけで、この街は全く違う顔を見せてくれます。良い夜を。