函館元町の裏通り――観光客が素通りする西部地区の本当の魅力
函館元町の裏通り――観光客が素通りする西部地区の本当の魅力
函館元町の裏通り――観光客が素通りする西部地区の本当の魅力
八幡坂で写真を撮って、教会群を見上げて、ロープウェイに乗って帰る。函館西部地区を訪れる観光客の9割が、たぶんこのルートをたどります。でも、この街の本当の表情は、その「定番ルート」の一歩外側にあるんです。私は西部地区の近くに5年住んでいますが、いまだに新しい路地を見つけるたびに心が躍ります。この記事では、ガイドブックが教えてくれない元町の奥深さを、できるだけ具体的にお伝えします。
大三坂・チャチャ登りの先へ――観光客が引き返すポイントからが本番
大三坂を上りきり、チャチャ登りで有名な教会の三重奏を写真に収めたら、ほとんどの人はそこでUターンします。でも、そのまま函館山方面へさらに5分歩いてみてください。観光客の姿がふっと消え、明治〜大正期の和洋折衷住宅が静かに並ぶ生活の通りに出ます。特に常盤坂の上部から旧函館区公会堂の裏手にかけては、苔むした石垣と古い板塀が続き、まるで時間が止まったような空間です。途中、元町配水場の裏側に出ると、港と街並みを一望できる隠れたビューポイントがあります。ベンチもなく柵があるだけの場所ですが、八幡坂より人がいない分、函館山と港の景色を独り占めできます。
地元の豆知識: 元町配水場は春になると敷地内の桜が見事ですが、実は8月〜10月の平日限定で敷地内を無料開放しているのはあまり知られていません。水道局に事前確認すると確実です。
築100年超の古民家に静かに灯る路地裏カフェ3選
西部地区には、古い建物をそのまま活かしたカフェが点在しています。観光通りから一本入るだけで、まったく違う時間の流れに出会えます。
1. 茶房 旧茶屋亭(大三坂沿い) 大正時代の蔵を改装した空間。名物のクリームあんみつ(750円)は地元リピーター多数。2階の窓から坂を見下ろす席が特等席です。
2. ティーショップ 夕日(船見町エリア) 築100年以上の民家を改装。紅茶とスコーンのセット(900円前後)が定番。営業日が不定期なので、SNSで事前確認を。観光客はほぼ来ません。
3. cafe D'ici(弥生坂周辺) こぢんまりとした一軒家カフェ。自家製チーズケーキ(500円)とハンドドリップコーヒー(450円)の組み合わせが秀逸。英語メニューはありませんが、店主はとても親切です。
裏技: どの店も席数が5〜15席程度。平日14時台が最も空いています。週末は地元客も来るので、開店直後を狙うのがおすすめです。
地元の人だけが知る船見坂〜幸坂エリアの夕暮れ散歩ルート
西部地区で夕暮れを楽しむなら、八幡坂ではなく船見坂から幸坂へ抜けるルートを歩いてみてください。所要時間は約40分、距離にして1.5kmほどです。
出発点は函館西高校の近く、船見坂の上部。ここから坂を下りながら外国人墓地方面に向かい、途中で右に折れて住宅街の細い道を入ります。古い石畳の残る路地を抜けると、幸坂の中腹に出ます。この幸坂の中腹から見る夕暮れの港は、西日が海面をオレンジに染め、係留された漁船のシルエットが浮かび上がる絶景です。10月〜2月は日没が早いので16時前にスタートするのがベスト。夏場は18時半頃からがちょうどいいタイミングです。このルートは街灯が少ない区間があるため、日没後30分以内には大通りに戻ることをおすすめします。
地元の豆知識: 幸坂は映画やCMのロケ地として密かに使われることがあり、地元では「函館で一番フォトジェニックなのに一番無名な坂」と呼ぶ人もいます。
元町の住人に聞いた「観光客に教えたくない」お気に入りスポット
西部地区に30年以上住む知人数人に「本当は教えたくない場所」を聞きました。怒られそうですが、少しだけ共有します。
旧函館博物館1号(函館公園内)——明治12年に建てられた、北海道最古の博物館建築です。函館公園自体が観光ルートから外れがちですが、この小さな洋館の佇まいは元町のどの有名建築にも負けません。入場無料なのに、いつ行ってもほぼ無人。
弥生小学校裏の高台——学校の裏手にまわると、港に向かって視界が一気に開ける場所があります。ここは地元の人が犬の散歩で立ち寄るような何気ない場所ですが、函館山と市街地と海を一枚の絵のように見渡せます。Googleマップにはまず出てきません。
護国神社の裏参道——表参道ではなく、脇の細い階段を上るルート。苔むした石段と木漏れ日が美しく、特に早朝は神聖な空気に包まれます。
西部地区を歩くための実践ガイド――坂道の靴選びと季節別ベスト時間帯
最後に、西部地区を本気で歩くための実用的なアドバイスをまとめます。
靴選びは最重要事項です。元町の坂はアスファルトだけでなく、石畳や古いコンクリートが混在しており、雨の日は本当に滑ります。ヒールは論外、フラットなスニーカーか、できればグリップ力のあるトレッキングシューズが理想。冬場(12〜3月)は路面が凍結するため、靴底に装着する**滑り止めスパイク(コンビニで500〜800円程度)**が必須です。
季節別ベスト時間帯:
- 春(4〜5月): 午前10時〜13時。桜と古い建物の組み合わせが映える
- 夏(6〜8月): 朝7時台 or 夕方17時以降。日中は坂道で体力を消耗します
- 秋(9〜11月): 15時〜日没。西日に照らされる洋館群が最も美しい季節
- 冬(12〜3月): 正午前後の2時間に集中。日が短く路面も危険なので無理は禁物
裏技: 函館駅前や五稜郭で売っている「市電1日乗車券」(600円)を買えば、西部地区の入口(末広町・十字街電停)まで楽にアクセスでき、疲れたらすぐ市電で戻れます。坂を歩く体力を温存する賢い移動手段です。
定番の観光スポットがつまらないとは言いません。でも、もしあなたが函館に2日以上滞在するなら、半日だけでいいので、地図を閉じて西部地区の路地に迷い込んでみてください。この街は、迷った人にだけ本当の顔を見せてくれます。
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