ハセガワストアの焼き鳥弁当——函館民が愛するコンビニ飯の実力
2026-05-08·9 分で読める
# ハセガワストアの焼き鳥弁当——函館民が愛するコンビニ飯の実力
函館を訪れたら、海鮮丼でもラーメンでもなく、まず「コンビニの弁当」を食べてほしい。地元民が本気でそう言うのだから、ただごとではありません。
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## ハセガワストアとは何者か——函館にしかないコンビニの正体
ハセガワストア(通称「ハセスト」)は、函館市内とその近郊にしか存在しないローカルコンビニチェーンです。店舗数はわずか13店舗前後。セブン-イレブンやファミリーマートのような全国チェーンとは根本的に違い、1978年から函館の街に根を張り続けてきました。外観は普通のコンビニそのもので、飲み物やお菓子、日用品も並んでいます。しかし店内に足を踏み入れると、奥のカウンターから漂ってくる炭火と甘いタレの香りに気づくはずです。ここで焼かれているのが、名物「やきとり弁当」。コンビニの中に本格的な焼き場があるという光景は、日本全国を探してもほとんど見られません。函館市民にとっては幼い頃からの「おふくろの味」に近い存在で、観光ガイドに載るずっと前から地元の食卓を支えてきたソウルフードなのです。
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## 注文の流れを完全解説——初めてでも迷わないオーダー方法
ハセストの焼き鳥弁当は、レジ横にある専用の注文用紙に記入するセルフオーダー式です。用紙にはサイズ(小・中・大)、味付け(タレ・塩・塩ダレ・うま辛)、そしてのりの有無を選ぶ欄があります。鉛筆でチェックを入れてカウンターに渡すだけ。価格は「小」が約490円、「中」が約590円、「大」が約690円(※時期により変動あり)で、観光地の食事としては驚くほどリーズナブルです。注文後、目の前の鉄板で一本一本焼いてくれるので、出来上がりまで約5〜10分かかります。混雑時は15分以上待つこともあるので、時間に余裕を持ちましょう。番号札を渡されるので、店内で待つか、近くの棚で飲み物を選んでいればOKです。
> **裏技:** 注文用紙の備考欄に「のり多め」や「タレ多め」と書くと、対応してくれるスタッフもいます。常連はさりげなくこれをやっています。
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## 「やきとり」なのに豚肉?——函館独自の焼き鳥文化を知る
メニュー名は「やきとり弁当」。しかし串に刺さっているのは、鶏肉ではなく**豚の精肉と玉ねぎ**です。初めて知った人は「え?」と二度見するかもしれません。実はこれ、北海道の道南地方や室蘭・函館エリアに根付いた独特の食文化なのです。戦前から戦後にかけて、鶏肉が高価だった時代に豚肉を串焼きにして「やきとり」と呼ぶ習慣が定着しました。つまりこの地域では「やきとり=串焼き全般」を指す言葉であり、豚肉であることにまったく矛盾はありません。函館市民に「やきとり弁当って鶏じゃないんですね」と言うと、「え、そうだけど?」とキョトンとされます。この文化的ギャップこそが旅の醍醐味です。ちなみに、噛むと肉汁がじゅわっと溢れる豚精肉の旨さは、鶏肉とはまた違った満足感がありますよ。
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## 地元民のリアルな食べ方——タレか塩か、のり弁かミックスか
地元民に「どの味が好き?」と聞くと、圧倒的に多いのが**タレ派**です。甘辛い醤油ベースのタレが白飯に染み込み、串を抜いた後のご飯だけでもう一杯いけるほどの破壊力。一方で「通」を自認する人ほど塩を選ぶ傾向があり、豚肉本来の甘みをダイレクトに味わえます。初めてなら迷わずタレ、2回目以降に塩を試すのがおすすめです。のりの有無も重要な選択肢で、「のりあり」にすると弁当箱の上に海苔がびっしり敷かれ、タレご飯との相性が抜群に良くなります。
> **地元の豆知識:** 函館の学生たちは部活帰りにハセストへ寄り、「大・タレ・のり」を注文するのが青春の定番です。大人になっても、この組み合わせを頼むと学生時代を思い出すという人が少なくありません。
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## どの店舗に行くべきか——観光客が見落とす立地と混雑の裏事情
多くの観光客が向かうのは**ベイエリア店**(函館西波止場近く)です。赤レンガ倉庫から徒歩圏内でアクセスは最高ですが、昼の12時〜13時台と夕方17時前後は行列ができることも珍しくありません。実は地元民がよく使うのは、五稜郭エリアにある**中道店**や**湯の川店**など観光ルートから少し外れた店舗です。こちらは待ち時間が短く、落ち着いて食べられるイートインスペースがある店舗もあります。もうひとつ見落とされがちなのが営業時間。店舗によって焼き場の稼働時間が異なり、早朝や深夜は焼き鳥弁当を注文できない場合があります。確実に食べたいなら**10時〜20時の間**に訪れるのが安全です。Google Mapsで「ハセガワストア」と検索すれば全店舗が表示されるので、宿泊先から一番近い店舗を事前にチェックしておきましょう。
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海鮮丼に何千円も払う前に、まずは500円台のやきとり弁当を試してみてください。「コンビニ飯」という先入観が、ひと口で吹き飛ぶはずです。