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いかめし完全ガイド:函館の地元民が本当にやっている食べ方と買い方

2026-05-08·10 分で読める
いかめし完全ガイド:函館の地元民が本当にやっている食べ方と買い方

# いかめし完全ガイド:函館の地元民が本当にやっている食べ方と買い方

函館に住んで気づいたことがあります。観光客の方が「いかめし食べました!」と嬉しそうに話してくれるとき、それはほぼ100%、駅弁のいかめしのこと。もちろん美味しい。でも、地元民が知っている「本当のいかめし」の世界は、もっと奥が深いんです。このガイドでは、その違いをすべてお伝えします。

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## 「駅弁のいかめし」と「函館のいかめし」はまったく別物という事実

全国の駅弁大会で不動の人気を誇る「いかめし」。森駅の阿部商店が元祖で、価格は1個780円前後。甘辛い醤油ダレで煮込んだ小ぶりのスルメイカにもち米が詰まっています。常温で日持ちするよう、しっかり味が染みているのが特徴です。一方、函館市内の食堂や家庭で出てくるいかめしは、まるで別の料理。新鮮な真イカ(スルメイカ)を使い、味付けはあっさり。イカ本来の甘みと柔らかさを活かすために、煮込み時間も短めです。駅弁版が「保存食の完成形」なら、函館版は「鮮度で勝負する家庭料理」。どちらが上ということではなく、そもそもコンセプトが違うのだと理解してください。

> **地元の豆知識:** 函館の家庭では、いかめしは「ごちそう」ではなく「イカが大量に手に入ったときの消費レシピ」。つまり、漁師町の日常食なんです。

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## 地元民が通う名店と家庭のいかめしレシピの違い

函館でいかめしを食べるなら、まず名前が挙がるのが**「いか清」**(五稜郭エリア、いかめし定食1,200円前後)。ここは注文後に炊き上げるスタイルで、イカの食感が驚くほど柔らかい。もうひとつ、地元民に根強い人気があるのが**「まるかつ水産」**(函館朝市内、時価800〜1,000円程度)の朝イカを使った季節限定いかめし。一方、家庭のレシピは実にシンプルです。生のスルメイカの内臓を抜き、うるち米(もち米ではなく普通の米を使う家庭も多い)を7分目まで詰めて楊枝で止め、醤油・みりん・砂糖・生姜の煮汁で30〜40分煮る。名店との最大の違いは、家庭版はイカのワタ(内臓)を煮汁に加えること。これでコクが段違いに増します。

> **裏技:** 居酒屋で「いかめし」がメニューになくても、「いかめし、できますか?」と聞いてみてください。イカ料理を出す店なら裏メニューで作ってくれることがあります。

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## 正しい食べ方の作法:温め直し・付け合わせ・地酒との合わせ方

駅弁のいかめしは常温でそのまま食べる設計ですが、地元民は必ず温めます。電子レンジなら500Wで1分〜1分半、ラップをふんわりかけて。ただし、最も美味しいのは煮汁ごと小鍋で弱火にかけ、煮汁を煮詰めながら温める方法です。こうするとイカに照りが出て、タレが再び絡みます。付け合わせの定番は、ガリ(甘酢生姜)と漬物。函館では松前漬けを添える家庭も多いです。そしてお酒。地元民のベストパートナーは、函館の地酒**「郷宝(ごっほう)」**の純米酒(四合瓶で約1,800円)。いかめしの甘辛さを、すっきりした酸味が見事に受け止めます。日本酒が苦手な方には、北海道限定ビール**「サッポロクラシック」**(コンビニで約220円)もよく合います。

> **地元の豆知識:** 食べるときは輪切りにしてから。丸ごとかぶりつくと中の米が飛び出します。包丁を水で濡らすときれいに切れますよ。

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## 観光客が買う定番vs地元民が選ぶ本当に旨いいかめしの見分け方

お土産売り場に並ぶいかめしは、正直どれも似て見えるかもしれません。観光客に最も売れているのは森町・阿部商店のレトルトいかめし(2尾入り約780円)。安定の美味しさで、間違いはありません。しかし地元民が自分用に買うのは少し違います。注目すべきは**「はこだて柳屋」のいかめし**(2尾入り約1,000円、函館駅キヨスクで購入可能)。こちらは甘さ控えめでイカの風味がしっかり残るタイプ。さらに通が選ぶのは、函館朝市や自由市場の鮮魚店が少量生産している手作りいかめし。パッケージは素朴ですが、その日仕入れたイカで作るため鮮度が別格です。見分けるポイントは3つ。①イカの色がやや透明感がある、②米がパンパンに詰まりすぎていない、③原材料に「もち米」だけでなく「うるち米」がブレンドされている。この3つが揃えば、地元寄りの味に出会える確率が高いです。

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## いかめしの旬とイカ漁の関係——食べるべき時期を間違えないために

これは多くの旅行者が見落とすポイントです。函館のスルメイカ漁の最盛期は**6月〜12月**。特に美味しいのは**7月〜8月**の夏イカで、身が薄く柔らかいためいかめしに最適です。秋以降は身が厚く大きくなり、刺身には良いのですが、いかめしにすると硬くなりやすい。つまり、「いかめしを食べに函館へ行く」なら夏がベストシーズン。冬に訪れても駅弁や冷凍品は年中ありますが、食堂で出来たてのいかめしを味わいたいなら7〜8月を狙ってください。近年は温暖化の影響でスルメイカの漁獲量が激減しており、2024年の浜値はピーク時の3〜4倍に高騰しています。そのため、かつては500円台だった食堂のいかめしも1,000円超えが当たり前になりました。

> **裏技:** 函館朝市の「駅二市場」にある活イカ釣り堀(1回800円〜)で釣ったイカを、その場でさばいてもらった後に「いかめしにできますか?」と近隣の食堂に持ち込み交渉する強者もいます。成功率は高くありませんが、実現したら最高の思い出になりますよ。

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**最後にひとつだけ。** いかめしは函館の人にとって、わざわざ語るほどの料理ではない日常の味です。だからこそ、観光ガイドには載らない食べ方や買い方がたくさん残っています。このガイドを片手に、ぜひ「観光客のいかめし」から一歩踏み出してみてください。きっと、函館の印象がまるごと変わるはずです。