定山渓温泉──札幌市民が週末にこっそり通う山間の湯治場
定山渓温泉──札幌市民が週末にこっそり通う山間の湯治場
定山渓温泉──札幌市民が週末にこっそり通う山間の湯治場
札幌市民はなぜ定山渓に通うのか──観光地ではなく「生活圏の温泉」という感覚
「定山渓(じょうざんけい)に行ってくる」──札幌の人がこう言うとき、そのトーンは旅行というより「ちょっとスーパーに行ってくる」に近い。市中心部から車で約50分、バスでも75分ほど。行政区分も札幌市南区であり、れっきとした"市内"なのです。だからこそ地元民は有給を取るような大げさな計画ではなく、土曜の朝に思い立って昼前に到着し、夕方には帰宅して夕飯を作る──そんな距離感で温泉を楽しんでいます。旅館の豪華な懐石を目的にする人ももちろんいますが、多くの常連にとっては「疲れた体をリセットする装置」。観光パンフレットに載る紅葉や雪景色の写真だけでは伝わらない、生活の延長線上にある温泉地。それが札幌市民にとっての定山渓です。
地元の豆知識: 札幌市民の間では定山渓を「じょうざん」と略すのが定番。「週末じょうざん行かない?」と誘われたら、温泉のお誘いだと思ってください。
バスの乗り方と地元民的タイムスケジュール──混まない時間帯と曜日の選び方
札幌駅前バスターミナル12番のりばから「じょうてつバス・定山渓温泉行き(かっぱライナー号)」に乗れば、乗り換えなしで約60分。片道大人800円、往復だと1,500円のお得なセットきっぷがあります(2024年時点)。ICカード「SAPICA」も使えますが、観光客向けの「Kitaca」「Suica」も利用可能です。地元民がよく使うのは平日の午前10時台の便。土日なら8時台の始発に近い便に乗り、11時前に到着するのが鉄則です。理由は明快で、日帰り客が集中するのは12時〜15時。逆に狙い目なのが日曜の夕方以降で、多くの日帰り客が帰路についた16時半を過ぎると、立ち寄り湯は一気に空きます。
裏技: 宿泊施設の中には無料送迎バスを日帰り客にも開放しているところがあります。「定山渓万世閣ホテルミリオーネ」は事前予約制で札幌駅発着の無料バスを運行(日帰り入浴利用者も対象・要確認)。交通費ゼロで温泉に行ける裏技です。
日帰り入浴よりも「足湯ハシゴ」──無料スポットと渓流沿いの過ごし方
定山渓温泉街には無料の足湯が点在しており、これを順番に巡る「足湯ハシゴ」が地元民の密かな楽しみ方です。まず温泉街入口にある「足のふれあい太郎の湯」はバス停から徒歩2分、屋根付きで雨の日も安心。次に少し奥へ歩くと「かっぱ家族の願掛け手湯」があり、手だけを温められるユニークなスポット。さらに国道沿いの「定山源泉公園」では、約80℃の源泉に生卵を浸けて温泉たまごを作れます(卵は近くの土産店で1個100円前後)。足湯に浸かりながら20分ほど待てば完成。これが地元流のおやつです。足湯の合間には豊平川の渓流沿いの散策路を歩いてみてください。二見吊橋からの渓谷美は、特に紅葉期でなくても深緑の季節に息をのむ美しさがあります。タオルは必携ですが、忘れても各足湯近くの売店で200円程度で購入できます。
地元常連が推す宿と立ち寄り湯──泉質の違いで選ぶ通な入り方
定山渓の泉質は基本的にナトリウム塩化物泉ですが、施設ごとに源泉が異なり、体感はかなり違います。地元常連がまず名前を挙げるのが「湯の花 定山渓殿」(日帰り入浴 大人1,200円)。露天風呂の種類が豊富で、サウナ好きにはロウリュも人気。長時間滞在する地元民が多く、館内の休憩スペースで漫画を読みながら半日過ごす人も。泉質重視派に支持されるのが「ぬくもりの宿 ふる川」の立ち寄り湯(大人1,500円・要事前確認)。やや琥珀色を帯びた湯は肌あたりが柔らかく、湯上がりのしっとり感が段違いだと評判です。もう少し穴場を求めるなら、温泉街から車で5分ほど奥にある「豊平峡温泉」(大人1,100円)。ここは源泉100%かけ流しで加水・加温・循環なし。実はインド人シェフが作る本格ナンカレー(1,000円〜)が名物で、温泉とカレーという異色の組み合わせが中毒性を生んでいます。
地元の豆知識: 豊平峡温泉のナンカレーは地元民の間で「札幌で一番うまいナンは温泉にある」と半ば伝説化しています。温泉よりカレー目当てで来る人がいるほどです。
温泉街の外にある寄り道──ダム放流の迫力、農家直売所、帰り道の札幌シメグルメ
温泉だけで帰るのはもったいない。定山渓エリアにはもうひとつの名所「豊平峡ダム」があります。6月〜10月の観光放流シーズンには、毎秒数トンの水が轟音とともに落下する迫力の光景を間近で見られます。ダムへは環境保護のためマイカー乗り入れ禁止で、専用の電気バス(往復700円)に乗るのですが、このトンネルを抜ける数分間の"冒険感"が子供にも大人にも好評です。帰り道には国道230号沿いの「八剣山果樹園」近辺に季節の農家直売所が点在し、夏はとうもろこし、秋はかぼちゃやじゃがいもが市価の半額近くで手に入ることも。そして札幌市内に戻ったら、地元民の定番は「すすきの」エリアでのシメパフェ。温泉で温まった体に冷たいパフェを合わせるのが札幌流の贅沢です。「パフェテリア パル」や「夜パフェ専門店 ななかま堂」は22時以降も営業しており、温泉帰りの遅い時間でも立ち寄れます。
定山渓は"わざわざ行く観光地"ではなく、"ふらっと立ち寄る日常の温泉"。その感覚を知ったとき、札幌という街がもう一段深く好きになるはずです。
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