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盛岡・紺屋町と材木町——地元民が愛する裏通りのカフェとクラフト店

2026-05-08·8 分で読める
盛岡・紺屋町と材木町——地元民が愛する裏通りのカフェとクラフト店

# 盛岡・紺屋町と材木町——地元民が愛する裏通りのカフェとクラフト店

## なぜ今、盛岡の裏通りが世界から注目されるのか

2023年、ニューヨーク・タイムズ紙が「今年行くべき52か所」の2番目に盛岡を選びました。パリやロンドンを抑えての選出に、当の盛岡市民が一番驚いていたのが正直なところです。記事が注目したのは、大型チェーンではなく個人店が自然に残る街の肌触り。特に紺屋町(こんやちょう)と材木町(ざいもくちょう)は、観光客向けに「つくられた」エリアではなく、地元の暮らしの延長線上にある通りです。古い建物をリノベーションしたカフェ、職人が一人で営む工房、週末だけ開く小さなギャラリー——こうした点と点が徒歩圏内に散らばっていて、歩くほどに発見がある。NYT以降、特に欧米からの個人旅行者が増えていますが、まだ「混んでいない」のが盛岡最大の魅力です。

## 紺屋町——染物の歴史が息づく通りで出会う個人カフェ

紺屋町の「紺屋」とは藍染め職人のこと。江戸時代、中津川沿いに染物屋が軒を連ねたのが町名の由来です。現在もその水路の名残が通りの裏手に見られます。この歴史ある一角で、地元民が朝から通うのが**「クラムボン」**(コーヒー450円〜)。築60年以上の建物を活かした店内は薄暗く、ジャズが静かに流れています。モーニングセット(トースト+ゆで卵+コーヒーで650円)は観光ガイドにほぼ載りません。もう一軒、**「紅茶の店しゅん」**は紅茶専門という珍しい業態で、ダージリンのファーストフラッシュをポットで楽しめます(800円〜)。どちらの店も「一人客が居心地よい」空気感があるのが盛岡らしさです。

> **地元の豆知識:** 紺屋町の中津川では、秋になると市街地のど真ん中で鮭が遡上します。カフェの窓から川面を眺めていたら鮭が跳ねた、という体験は盛岡でしかできません。

## 材木町——よ市だけじゃない、職人と本屋が集まる日常の横顔

材木町と聞くと、毎週土曜に開かれる「よ市(よいち)」を思い浮かべる人が多いでしょう。しかし平日の材木町にこそ、この街の本当の顔があります。まず外せないのが**「光原社」**。宮沢賢治の『注文の多い料理店』を初めて出版した場所で、現在は南部鉄器やくるみクッキー(6枚入り580円)を扱う民芸店です。中庭を抜けると小さなカフェ「可否館」があり、コーヒー(500円)を飲みながら賢治の初版本の複製を眺められます。通り沿いには**「さわや書店」**本店もあり、書店員の手書きPOPが独自の選書文化を支えています。この書店発の「文庫X」が全国的な話題になったことを知る外国人旅行者はまだ少ないはずです。

## 地元常連に聞いた「つい何度も来てしまう」店リスト

盛岡在住の友人5人に「月に3回以上行く店」を聞いたところ、見事にチェーン店がゼロでした。以下がそのリアルなリストです。

- **「福田パン」**(長田町):コッペパン専門店。あんバター(260円)が定番。注文時に具材の組み合わせを自由に選べます。朝7時から営業、地元の高校生と並んで買うのが通の楽しみ。
- **「タルトタタン」**(材木町近く):盛岡で随一のケーキ店。季節のタルト(480円〜)は午前中で売り切れることも。
- **「釜定」**(紺屋町エリア):南部鉄器の工房兼ショップ。モダンなデザインの急須は海外ファンも多く、小さな栓抜き(1,500円〜)はお土産に最適。

> **裏技:** 福田パンは「あんバター+マーガリン多め」と伝えるとカロリーは跳ね上がりますが、地元民はこれを"完全体"と呼びます。旅先のカロリーはゼロ、を合言葉にどうぞ。

## 歩き方のコツ:季節・時間帯・週末マーケットの楽しみ方

ベストシーズンは**5月下旬〜6月**と**10月**。前者は新緑と過ごしやすい気温、後者は中津川の鮭遡上と紅葉が重なります。夏(7〜8月)は意外と蒸し暑いので注意してください。紺屋町と材木町は徒歩15分圏内なので、午前に紺屋町のカフェでゆっくりし、午後に材木町を散策するのが理想的な流れです。土曜は「よ市」が15:30〜18:30頃に開かれるため、夕方を材木町で過ごす計画に。よ市では地元ビール(一杯500円〜)と串焼き(300円〜)を立ち飲みできます。個人店は月曜・火曜休みが多い点だけ気をつけてください。盛岡駅からは徒歩でも約15分、100円循環バス「でんでんむし」でもアクセス可能です。

> **裏技:** 盛岡駅の観光案内所で無料の「まち歩きマップ」をもらってから出発すると、裏路地の小さな店まで網羅されていて迷いません。英語版もあります。