日光湯元温泉——東照宮の先にある秘境の山岳温泉を歩く
日光湯元温泉——東照宮の先にある秘境の山岳温泉を歩く
日光湯元温泉——東照宮の先にある秘境の山岳温泉を歩く
東照宮で引き返してしまう旅行者がほとんどです。でも、その先にこそ日光の本当の姿が待っています。標高1,500mに湧く白濁の硫黄泉、凍った湖の上を歩く冬の朝、煮えたぎる源泉池のそばで立ちのぼる蒸気——。観光パンフレットではなかなか伝わらない、湯元温泉のリアルな姿を地元目線でお届けします。
東照宮から先へ——バスで40分の別世界への行き方と車窓の楽しみ方
JR・東武日光駅前から東武バス「湯元温泉」行きに乗れば、乗り換えなしで約80分。ただし東照宮エリアからなら約40分で着きます。運賃は日光駅から片道1,750円。ここで絶対に活用してほしいのが「まるごと日光 東武フリーパス」(浅草発4,810円〜)で、バスが乗り放題になります。車窓の見どころは何といっても「いろは坂」の連続ヘアピンカーブ。秋は紅葉のトンネル、冬は雪壁が窓のすぐ横に迫ります。中禅寺湖畔を抜けると車内の空気が明らかに変わり、気温が平地より8〜10℃低いことを肌で感じるはずです。バスは1時間に1〜2本しかないので、帰りの時刻表は写真に撮っておいてください。
裏技: バスの進行方向「左側」の席を確保すると、いろは坂では谷側の絶景を独占できます。逆に乗り物酔いしやすい人は右側(山側)が安心です。
硫黄の匂いが漂う湯ノ平湿原を歩く:源泉地帯のリアルな風景
バス停から徒歩5分、湯ノ湖のほとりを抜けると突然、卵の腐ったような硫黄臭が鼻を突きます。これが湯元温泉の源泉が集中する「湯ノ平湿原」です。木道が整備されていて、ボコボコと音を立てて湧き出す乳白色の源泉池を間近に見られます。温泉寺や各旅館はここからパイプで湯を引いており、まさに温泉街の心臓部。地表から立ちのぼる蒸気は冬場だと一面を白く覆い、異世界のような光景になります。所要時間は一周約20分。足元は木道とはいえ冬季は凍結するので、滑り止め付きの靴が必須です。周辺は国立公園の特別保護地区のため、木道から外れて湿原に踏み込むことは厳禁。触れたくなる源泉池も70℃以上あるので、絶対に手を入れないでください。
地元の豆知識: 湿原のすぐ隣にある「日光山温泉寺」(拝観料500円)では、お寺の中で温泉に入れるという全国的にも珍しい体験ができます。入浴と参拝がセットで、住職が湯加減を見てくれることも。
地元民が通う共同浴場と日帰り湯——観光客向け施設との違い
湯元温泉には、旅館の豪華な大浴場とは別に、地元民や常連が静かに通う入浴スポットがあります。代表格は「湯元温泉 あんよの湯」。足湯ですが無料で、源泉かけ流しの硫黄泉をいつでも気軽に試せます。しっかり全身浴したいなら「日光湯元ビジターセンター」近くの旅館が提供する日帰り入浴を利用しましょう。「休暇村日光湯元」は大人1,000円で広い内湯と露天を開放しており、タオルレンタルも可能。一方、旅館「板屋」や「釜屋」の日帰り入浴は800〜1,200円で、泉質にこだわる常連から支持が厚いです。観光客向けの大型施設と違い、シャンプー・ボディソープが置かれていない場合もあるので、持参するか番台で確認を。もう一つ注意点として、硫黄泉はシルバーのアクセサリーを真っ黒に変色させます。入浴前に必ず外してください。
季節で変わる湯元の顔:厳冬期の凍結湖とクロスカントリー、秋の戦場ヶ原
湯元温泉が最も「秘境」の表情を見せるのは12月〜3月の厳冬期です。湯ノ湖は全面凍結し、氷上ワカサギ釣り(1月下旬〜3月上旬頃、遊漁券700円、穴釣り用具レンタル約2,000円前後)が楽しめます。凍った湖の上に座って糸を垂らす体験は、日本人でも未経験の人が多い貴重な冬遊びです。また、湯元温泉園地にはクロスカントリースキーのコースが無料で開放され、レンタル(大人1日約1,500円)も現地で可能。一方、秋(10月上旬〜中旬)は湯元から戦場ヶ原へ下るハイキングルート(約2時間半)が紅葉の黄金回廊になります。草紅葉に染まる湿原と白樺の黄葉のコントラストは、いろは坂の紅葉渋滞を尻目に静かに堪能できる穴場です。
地元の豆知識: 厳冬期の夜、晴れた日に宿の外に出てみてください。標高1,500mで光害がほぼない湯元では、天の川が肉眼ではっきり見えます。東京からわずか数時間の場所とは思えない星空です。
宿選びの本音——老舗旅館と素泊まり宿、それぞれの過ごし方と注意点
湯元温泉の宿は大きく3タイプ。まず老舗旅館の「板屋」「釜屋」「湯守釜屋」は1泊2食付きで15,000〜25,000円前後。食事は地元の湯波(日光では「湯葉」ではなく「湯波」と書きます)や岩魚の塩焼きなど山の幸中心で、温泉と食事をセットで味わいたい人に向いています。次に「休暇村日光湯元」は公共の宿で12,000〜18,000円前後、バイキング形式の食事で家族連れに人気。そして節約派には「民宿 若葉荘」などの素泊まり(5,000〜7,000円前後)がありますが、湯元温泉街にはコンビニが一軒もありません。素泊まりの場合は中禅寺湖畔か日光市街で食料を確保してから向かうのが鉄則です。また、どの宿でも携帯電話の電波が弱い場所があり、Wi-Fiも不安定な場合があります。「つながらない時間」を楽しめる心の準備をしておくと、湯元の滞在はぐっと豊かになります。
裏技: チェックイン前・チェックアウト後に荷物を預けて湯ノ平湿原や湯滝を散策し、帰りに中禅寺湖畔の「シェ・ホシノ」でフレンチランチ(2,200円〜)を食べて帰ると、一日を余すところなく使えます。
東照宮の華やかさとはまったく違う、静かで、少し荒々しくて、硫黄の匂いがする日光——。バスをもう40分乗り続けるだけで出会えるこの景色を、ぜひ次の日光旅行に加えてみてください。
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