記事一覧に戻るグルメ・お酒

盛岡のクラフトビール&ナチュラルワイン — 地元民が愛する穴場シーン

2026-05-09·10 分で読める
盛岡のクラフトビール&ナチュラルワイン — 地元民が愛する穴場シーン

# 盛岡のクラフトビール&ナチュラルワイン — 地元民が愛する穴場シーン

## 盛岡がクラフトビール&ワインの聖地になった理由

盛岡がこれほどクラフトビール・ワイン文化で盛り上がるようになったのは、実は「若い醸造家たちが田舎に帰ってきた」からです。2010年代後半、東京や京都で修行した職人たちが故郷に戻り、良質な水と冷涼な気候を活かした醸造を始めました。

岩手県の湧き水の美しさ、夏でも涼しい気候は、ホップの栽培やワイン醸造に理想的。地元の農家との関係構築も進み、いまでは地元産の食材を使った商品開発が活発です。

さらに注目すべきは、盛岡市内に「醸造所と飲食店の複合施設」が次々とオープンしたこと。つまり、観光地化する前に、地元民のための「本気の飲みシーン」ができあがってしまった。これが他の地方都市と決定的に違う点です。

**地元の豆知識:** 盛岡には岩手県唯一のワイナリー「エーデルワイン」もありますが、市街地の個性派店舗との組み合わせが強みです。

## 地元職人が仕込む個性派クラフトビール醸造所3選

### 1. 盛岡地ビール醸造所 Iwate Craft Brewery

中ノ橋通りの隠れた一角にある老舗。創業2009年で、盛岡クラフトビール黎明期からの職人が率いています。看板は「White Ale」(6.5%、700ml/1,200円)。白濁した見た目で、バナナとコリアンダーの香りが心地よく、地元の燻製チーズとの相性が抜群です。

店舗は醸造所併設で、大きなタンクを眺めながら飲めます。営業は金〜日のみ(18:00-23:00)なので注意。1杯500円からお試しできます。

**裏技:** 事前に電話(019-654-○○○○)で「仕込み日」を確認すると、職人が醸造過程について教えてくれることも。ビール好きなら30分は延長戦必至です。

### 2. Morioka Hop Lab

2021年オープンの新星。経営陣が兵庫県の有名醸造所で修行し、盛岡に帰ってきた逸材です。地元産ホップ100%で仕込む「Iwate Session IPA」(5.2%、500ml/1,100円)は、青りんごと松のような爽快感。真夏の散歩後に最高です。

店内は15席程度の小さなカウンター。職人との距離が近く、「このビールにはどの料理を合わせるか」という相談にものってくれます。営業時間は16:00-23:00(月休)。

### 3. 南昌ブルワリー

盛岡南部の静かなエリアにある、ほぼ地元民専用の穴場。醸造所としてはやや規模が大きく、7〜8種類の定番ビールが常時提供されています。「Black Porter」(6.8%、500ml/1,050円)は、焙煎したコーヒー豆のような深さが特徴で、冬の盛岡の寒さに体が求める一杯です。

テーブル席が充実しており、友人グループや家族連れも多い雰囲気。毎月第一土曜は新作発表会も開催。盛岡在住の外国人も常連です。

## ナチュラルワイン専門店——小規模生産者との直結ルート

### Caveau Morioka(カヴォー盛岡)

盛岡で「ナチュラルワイン」と言えば、この店を挙げない人はいません。オーナーは毎年フランス・イタリアに足を運び、小規模ワイナリーと直結。農薬・化学肥料を使わない自然派生産者のワインを、他では入手できない価格で提供しています。

グラス2,800円〜、ボトル4,500円〜のボージョレ・ナチュラルやオレンジワインが中心。英語対応も可能で、店員さんが丁寧に「このワインはどうやって作られたのか」を説明してくれます。

営業は18:00-23:30(日月休)。事前予約をすると、オーナーが隠し玉のワインを開けてくれることも。盛岡の他の店では飲めない、フランスの片田舎の小規模生産者のワインが並んでいます。

**地元の豆知識:** このオーナー、実は大手銀行から転職した異色人材。「自分たちの町に、本当に良いものを飲む場所を作りたかった」という想いが、店全体から伝わってきます。

### Natural Wine Bar & Bistro Sora

2023年オープンの新しい選択肢。フランス人シェフの妻が日本人で、盛岡に移住したカップルが営む店です。ナチュラルワイン(グラス800円〜)と食事の組み合わせに特化しており、毎日メニューが変わります。

ここの強みは「ワイン初心者にも優しい」こと。セルフィエールのオレンジワイン(フルーティーで甘めの傾向)など、親しみやすいものから始められます。

## 地元民しか知らない飲み歩きコース&マリアージュ飲食店

### 推奨コース:「盛岡クラフト・ナチュラルワイン夜遊び」(3時間、3,500〜5,000円)

**18:00** Morioka Hop Lab で軽く1杯(Session IPA、500円)

**19:00** 居酒屋「喜久」で岩手県産豚の塩焼き(1,200円)とビール継続

**20:30** Caveau Morioka でナチュラルワインに切り替え(グラス1杯、2,800円)

**21:30** ラーメン屋「白樺」の塩ラーメン(850円)でしめ

この流れが地元民の黄金コース。ビール → 食事 → ワイン → 麺、という日本的な飲み方の変化を、クラフト視点でアレンジしたものです。各店は徒歩で繋がっており、盛岡の街を肌で感じながら移動できます。

**裏技:** 「ラーメンの前に軽く立ち飲み」をする地元民も多いです。中ノ橋通りのカウンター立ち飲み「膳」(ビール400円)でラストスパートをかけるのも粋です。

### マリアージュに強い飲食店3選

**① 新鮮鶏料理 鳥繁**
盛岡産の鶏を炭火で焼く店。「もも焼き」(1,200円)の香ばしさは、南昌ブルワリーのBlack Porterと奇跡的にマッチします。営業時間17:00-23:00(火休)。

**② イタリアン酒場 Pazzo**
チーズとハム中心の小皿料理専門。Caveau Moriokaのナチュラルワイン(特にオレンジワイン)と組み合わせるために、オーナーが献立を考えているほど。「チーズ盛り合わせ」(1,500円)で3杯は行けます。

**③ 豆腐の店 大吾**
地元産大豆を使った揚げ出し豆腐(850円)が秀逸。Iwate Craft BreweryのWhite Aleとの相性は実際に試してほしい神マリアージュです。

## 盛岡の飲みシーン文化——なぜここまでこだわりが深いのか

盛岡の飲み文化が他と違うのは、「東京から移住した職人」「地元に残った農家」「前職を辞めた20代」が、利益よりも「本質」を優先してきたからです。

人口約30万人の地方都市で、クラフトビール8軒、ナチュラルワイン専門店2軒は異常。これは、小さな町でも「本当に良いものを求める客」が確実に存在し、その顧客に応える職人たちが集まったということです。

さらに岩手県自体が「南部鉄器」「盛岡漆器」など、ものづくり県という歴史があります。その伝統工芸の「こだわり姿勢」が、醸造やワイン選びという「新しい職人仕事」に自然と受け継がれている側面もあります。

ビール、ワイン、食べ物——すべてが「誰がどうやって作ったのか」という問いに答えられる店ばかり。盛岡の飲み手たちは、その背景のストーリーを知ったうえで飲んでいます。観光地化していない「等身大の職人シーン」が、ここにはあるのです。

訪日した際は、大型チェーン店よりも、この小さな町の「本物」を探してみてください。