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高知城は地元民の庭。天守と本丸御殿が残る唯一の城の本当の楽しみ方

2026-05-09·13 分で読める
高知城は地元民の庭。天守と本丸御殿が残る唯一の城の本当の楽しみ方

# 高知城は地元民の庭。天守と本丸御殿が残る唯一の城の本当の楽しみ方

高知城の入口に立つと、観光客はカメラを構え、地元のおじいちゃんは素通りする。その温度差こそが、この城が「生きている」証拠です。全国に12ある現存天守のひとつでありながら、高知ではあくまで「日常の一部」。この記事では、ガイドブックが書かない、地元目線の高知城の楽しみ方をお伝えします。

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## 「天守と御殿が両方残る」が本当にすごい理由を建築視点で解説

日本全国に城は数あれど、**天守と本丸御殿がセットで現存するのは高知城だけ**です。「それ、そんなにすごいの?」と思うかもしれません。めちゃくちゃすごいです。

天守は「戦のシンボル」、御殿は「政治と暮らしの場」。本来セットで機能していた建物ですが、明治の廃城令や戦災でほとんどが失われました。名古屋城は天守が焼け、川越城は御殿だけが残り、大阪城の天守は鉄筋コンクリートの復元です。

高知城では、天守の望楼から御殿の屋根を**真上から見下ろせます**。殿様が廊下でつながった御殿から天守へ移動した動線を、そのまま自分の足でたどれる。この「空間の連続性」を体感できるのは、全国でここだけ。入場料はわずか420円(18歳未満は無料)。建築好きなら、この価格で江戸時代の権力構造を立体的に読めると思えば破格です。

> **地元の豆知識:** 高知城の天守は1749年に再建されたもの。実は築270年以上で、「現存」とはいえ一度焼失・再建を経ています。再建時に最新技術を盛り込んだため、構造的には初代よりむしろ完成度が高いと言われています。

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## 早朝の高知城公園——犬の散歩・太極拳・通勤ショートカットの日常風景

朝7時の高知城公園には、観光客はほぼゼロ。代わりにいるのは、柴犬を連れたおばちゃん、三の丸広場で太極拳をするグループ、そしてイヤホンをして早足で石段を駆け上がる通勤途中のサラリーマンです。

実は高知城公園は「追手門側」から入って「北側の県庁方面」へ抜けられる、地元民にとっての**生活動線**。城の敷地を突っ切ると信号待ちなしで県庁や市役所エリアに出られるため、毎朝かなりの人が「通勤ショートカット」に使っています。

早朝に行く最大のメリットは、**石段と天守を独占できること**。開館は8:30ですが、公園自体は24時間開放されています。朝の光が天守の白壁に当たる姿は、昼間の印象とまったく違います。追手門近くの「たかじょうカフェ」が8:00から営業しているので、モーニングコーヒー(400円)を片手に散策するのがおすすめです。

> **裏技:** 早朝は三の丸の北西角から天守を見上げてください。石垣の曲線と天守が重なる、写真映え抜群のアングルが人混みなしで撮れます。

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## 日曜市との最強コンボ:地元民が教える城下の歩き方と時間帯

毎週日曜日、高知城の追手門前から東へ約1.3km、追手筋に**300年以上続く日曜市(街路市)**が出現します。約400もの露店が並ぶ光景は圧巻。ただし、地元民と同じように楽しむにはタイミングが重要です。

**おすすめの流れはこう。** まず朝8時前に高知城を散策し、8時〜9時頃に日曜市へ降りる。この時間帯は農家のおばちゃんたちが元気いっぱいで、試食もたっぷり。芋天(1個100〜150円)は「大平商店」が地元民に人気。田舎寿司(1パック500円前後)は早い時間に売り切れるので午前中がマスト。文旦やショウガなど高知らしい農産物も、朝のうちが品揃え豊富です。

逆に11時を過ぎると通路が大混雑し、ベビーカーやスーツケースでの移動はかなり厳しくなります。地元民は「買い物は朝イチ、昼前には撤収」が鉄則。買った野菜や果物はホテルに持ち帰って食べるもよし、日曜市の端にあるコインロッカー(追手筋周辺)に預けるもよしです。

> **地元の豆知識:** 日曜市は1690年から続く日本最大級の街路市。雨天でも開催されますが、台風や年始(1/1・2)はお休みです。

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## 追手門〜天守の階段で見落としがちな石垣・排水溝・忍返しの読み方

多くの人が追手門で写真を撮ったら、あとは天守まで一直線に登ってしまいます。もったいない。この城の「本当の見どころ」は、足元と壁にあります。

まず注目してほしいのが**石垣の積み方の変化**。追手門付近は「打込接(うちこみはぎ)」という、石をある程度加工して積む方式。ところが上に登るにつれて、自然石をそのまま積んだ「野面積(のづらづみ)」が混在してきます。これは増築・改修の時代差が石垣に刻まれている証拠です。

次に、二の丸から本丸へ向かう石段の脇にある**石造りの排水溝(石樋)**。城全体で雨水を効率的に排出するシステムが今も機能しており、雨の日に訪れると実際に水が流れる様子を見られます。高知は年間降水量が日本トップクラスの多雨地域。この排水設計は、土地の気候に対する切実な回答なのです。

そして天守最上階の**忍返し(鉄の剣先状の突起)**。窓の外に突き出た鉄の棘は、外壁をよじ登る侵入者を防ぐためのもの。現存天守でこれほど状態よく残っている例は珍しいので、最上階に着いたら景色だけでなく**窓枠の外側**もぜひ覗いてみてください。

> **裏技:** 石樋を見たいなら、あえて小雨の日に登城するのがベスト。傘は必要ですが、観光客も少なく、排水システムが「稼働中」の姿を見られる貴重な機会になります。

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## 夜の高知城とひろめ市場——ライトアップ後に飲みに流れる地元スタイル

日没後、高知城は通年でライトアップされます(日没〜22:00、無料)。追手門の正面から見上げる天守が闇に白く浮かぶ姿は、昼間の「親しみやすい城」とは別の顔。特に冬の空気が澄んだ夜は、輪郭がくっきりと際立って息を呑みます。

そしてここからが高知の夜の本番。ライトアップを眺めたら、**徒歩3分のひろめ市場**へ流れるのが地元民の黄金ルートです。ひろめ市場は屋台村スタイルのフードコートで、好きな店で買った料理を共用テーブルで食べるシステム。まず「明神丸」のカツオの藁焼きたたき(1皿約800円)を確保し、「やいろ亭」のカツオたたき塩味と食べ比べるのが通の楽しみ方。席は相席が基本なので、隣に座った地元のおじさんに「おすすめは?」と聞けば、高確率で会話が弾みます。高知の人は本当に、驚くほど気さくです。

ビールやハイボールは各店で350〜500円。日本酒なら地元の「酔鯨」や「土佐しらぎく」を冷やで頼んでみてください。21時頃が最もにぎやかで、週末は満席覚悟。平日の19時台が比較的ゆったり楽しめます。

> **地元の豆知識:** ひろめ市場の「ひろめ」は、幕末の土佐藩士・深尾弘人蕉牛(ひろめ)の屋敷がこの場所にあったことに由来。つまりここも、高知城の城下町の歴史そのものなのです。

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**最後にひとつ。** 高知城は「見る城」ではなく「過ごす城」です。朝も昼も夜も、地元の人がそれぞれのやり方でこの場所を使っている。観光で訪れるあなたも、石段に腰かけてアイスクリンを食べるだけで、もうその日常の一部です。420円で江戸時代の建築を堪能し、日曜市で芋天をかじり、夜はひろめ市場でカツオと地酒。高知城を中心にした半径500mだけで、高知の魅力は十分すぎるほど味わえます。