丸岡城と地元民だけが知る桜の秘密──日本最古級の天守を訪ねて
丸岡城と地元民だけが知る桜の秘密──日本最古級の天守を訪ねて
丸岡城と地元民だけが知る桜の秘密──日本最古の天守を訪ねて
福井県坂井市の小高い丘の上に、戦国時代から静かに佇む城がある。姫路城でも松本城でもない──丸岡城。現存十二天守のひとつでありながら、外国人観光客の姿はほとんど見かけない。だからこそ、ここには「観光地化されていない日本」が残っている。
なぜ丸岡城は観光客にまだ知られていないのか──現存最古級の天守の実力
丸岡城の天守は1576年に築かれたとされ、現存する天守閣の中でも最古級と評価されている。にもかかわらず、外国語の旅行ガイドにはほとんど載っていない。理由は明快で、最寄りの新幹線駅(金沢・福井)からバスを乗り継ぐ必要があり、「ついでに寄る」には少し不便な立地だからだ。しかし逆に言えば、団体ツアーバスが来ないということでもある。天守の高さはわずか約12m。飾り気のない古武士のような佇まいは、巨大な城を見慣れた目にはかえって新鮮に映る。屋根に使われている石瓦は全国的にも珍しく、北陸の厳しい冬に耐えるための工夫だ。入場料はわずか450円(大人)。この価格で戦国時代の空気に触れられるのだから、コスパは抜群と言っていい。
地元民が教える桜のベストタイミングと「誰もいない」撮影ポイント
丸岡城は「日本さくら名所100選」に選ばれており、約400本のソメイヨシノが城を取り囲む。見頃は例年4月5日〜12日前後だが、地元民が本当に狙うのは満開の2日後、花びらが散り始める瞬間だ。丘の下の歩道が桜の花びらで薄桃色に染まり、風が吹くたびに天守に向かって吹雪のように舞い上がる。
地元の豆知識: 早朝6時台は入場門が開く前でも城の外周は自由に歩ける。南側の石垣の下から見上げるアングルは、桜と天守と石瓦を一枚に収められる地元カメラマン定番の構図。観光サイトには載っていない。
夜桜ライトアップ期間中(18:00〜21:00)は屋台も出るが、平日の20時過ぎに行くとほぼ貸し切り状態。三脚を立てても誰にも迷惑をかけずに撮影できる。
急勾配の石階段とロープ──天守内部のリアルな体験レポート
丸岡城の天守に入った瞬間、観光用に整備された城との違いに驚くだろう。内部の階段は傾斜角約65度。もはや「階段」というよりほぼ梯子で、備え付けのロープを掴みながら登る。スカートやヒールでは正直かなり厳しい。スニーカーと動きやすいパンツスタイルを強くおすすめする。
天守は二層三階建てで、最上階までは5分もかからない。しかし、そこから見渡す坂井平野と、晴れた日には遠くに光る日本海の眺望は息を呑む美しさだ。柱や梁には当時の木材がそのまま残され、手で触れると戦国時代の木の温もりが伝わってくる。エレベーターもエアコンもない。だからこそ本物なのだ。
裏技: 靴下だと階段で滑りやすい。入口で貸し出されるスリッパも滑るため、薄手の滑り止め付き靴下を持参すると安心。
城下町さんぽ:地元の蕎麦屋・餅店・酒蔵で過ごすローカルな午後
丸岡城の周辺は派手な観光地ではないが、地元の人が通う名店が点在している。城から徒歩10分ほどの**「新保屋(しんぼや)」**は、福井名物のおろしそばが味わえる老舗。冷たい蕎麦に大根おろしと鰹節をのせただけのシンプルな一杯(700円前後)が、驚くほど旨い。福井のそばは太めで歯応えがあり、東京や京都のそばとはまったく別物だ。
少し足を延ばせば、地酒を扱う**「久保田酒造」**にも立ち寄れる。丸岡の湧き水で仕込んだ純米酒は、辛口で食中酒にぴったり。試飲もできるので(無料〜300円程度)、日本酒好きなら見逃せない。
城のすぐ近くでは丸岡名物の「あんころ餅」も外せない。餅をこし餡で包んだ素朴な和菓子で、1パック350円程度から購入できる。桜の下で食べれば、それだけで最高のピクニックになる。
金沢からの日帰りルートと知っておきたいアクセスの落とし穴
金沢から丸岡城への日帰りは十分可能だが、いくつか注意点がある。最もスムーズなルートは以下の通り。
金沢駅 →(JR北陸本線/ハピラインふくい・約40分)→ 丸岡駅 →(京福バス・約15分)→ 丸岡城
ここで最大の落とし穴──丸岡駅からのバスは本数が非常に少ない。1時間に1本あるかないかで、最終バスも早い。事前に京福バスの時刻表を必ず確認してほしい。タクシーなら丸岡駅から約1,500円で城まで行ける。
裏技: 2024年に北陸新幹線が福井駅まで延伸した。金沢から福井駅まで新幹線で約30分、福井駅からバスで丸岡城へ約40分というルートも使える。本数は福井駅発の方がやや多い。
レンタカーがあれば東尋坊(車で約25分)や永平寺(約30分)とセットで回れるので、時間に余裕があるなら車が最も自由度が高い。
丸岡城は、日本の城巡りに「もうひとつの選択肢」を与えてくれる場所だ。人混みもなく、飾らない本物の歴史がそこにある。次の旅では、金沢から少しだけ足を延ばしてみてほしい。きっと、**「来てよかった」**と思える一日になるはずだ。
関連記事
上野公園だけじゃない!地元民が本当に行く花見の穴場スポット
観光客で溢れる定番スポットを避けて、日本人が実際に足を運ぶリアルな花見スポットと楽しみ方を紹介します。
大阪城、地元民のホンネと本当に行く場所を教えます
大阪人は大阪城をどう思っている?観光客が知らない地元民のリアルな声と、代わりに訪れる穴場スポットを紹介します。
隅田川花火大会——東京の地元民が人混みを避けて見る方法
正直に言います。隅田川花火大会は東京の夏を代表する最高のイベントである一方、何も知らずに行くと地獄を見ます。毎年7月最終土曜日、約100万人が隅田川周辺に押し寄せ、2万発の花火を見上げます。100万人ですよ。東京の真夏に。湿度90%の中で。
地元民が通う秘湯町:箱根よりも知られていない温泉地5選
観光客が殺到しない温泉町で、日本人が本当に愛する湯治文化を体験できる場所を紹介します。