丸岡城と地元民だけが知る桜の秘密──日本最古級の天守を訪ねて

丸岡城と地元民だけが知る桜の秘密──日本最古級の天守を訪ねて

2026-05-09·9 分で読める
丸岡城と地元民だけが知る桜の秘密──日本最古級の天守を訪ねて — Japan travel spot

丸岡城と地元民だけが知る桜の秘密──日本最古の天守を訪ねて

福井県坂井市の小高い丘の上に、戦国時代から静かに佇む城がある。姫路城でも松本城でもない──丸岡城。現存十二天守のひとつでありながら、外国人観光客の姿はほとんど見かけない。だからこそ、ここには「観光地化されていない日本」が残っている。


なぜ丸岡城は観光客にまだ知られていないのか──現存最古級の天守の実力

丸岡城の天守は1576年に築かれたとされ、現存する天守閣の中でも最古級と評価されている。にもかかわらず、外国語の旅行ガイドにはほとんど載っていない。理由は明快で、最寄りの新幹線駅(金沢・福井)からバスを乗り継ぐ必要があり、「ついでに寄る」には少し不便な立地だからだ。しかし逆に言えば、団体ツアーバスが来ないということでもある。天守の高さはわずか約12m。飾り気のない古武士のような佇まいは、巨大な城を見慣れた目にはかえって新鮮に映る。屋根に使われている石瓦は全国的にも珍しく、北陸の厳しい冬に耐えるための工夫だ。入場料はわずか450円(大人)。この価格で戦国時代の空気に触れられるのだから、コスパは抜群と言っていい。


地元民が教える桜のベストタイミングと「誰もいない」撮影ポイント

丸岡城は「日本さくら名所100選」に選ばれており、約400本のソメイヨシノが城を取り囲む。見頃は例年4月5日〜12日前後だが、地元民が本当に狙うのは満開の2日後、花びらが散り始める瞬間だ。丘の下の歩道が桜の花びらで薄桃色に染まり、風が吹くたびに天守に向かって吹雪のように舞い上がる。

地元の豆知識: 早朝6時台は入場門が開く前でも城の外周は自由に歩ける。南側の石垣の下から見上げるアングルは、桜と天守と石瓦を一枚に収められる地元カメラマン定番の構図。観光サイトには載っていない。

夜桜ライトアップ期間中(18:00〜21:00)は屋台も出るが、平日の20時過ぎに行くとほぼ貸し切り状態。三脚を立てても誰にも迷惑をかけずに撮影できる。


急勾配の石階段とロープ──天守内部のリアルな体験レポート

丸岡城の天守に入った瞬間、観光用に整備された城との違いに驚くだろう。内部の階段は傾斜角約65度。もはや「階段」というよりほぼ梯子で、備え付けのロープを掴みながら登る。スカートやヒールでは正直かなり厳しい。スニーカーと動きやすいパンツスタイルを強くおすすめする。

天守は二層三階建てで、最上階までは5分もかからない。しかし、そこから見渡す坂井平野と、晴れた日には遠くに光る日本海の眺望は息を呑む美しさだ。柱や梁には当時の木材がそのまま残され、手で触れると戦国時代の木の温もりが伝わってくる。エレベーターもエアコンもない。だからこそ本物なのだ。

裏技: 靴下だと階段で滑りやすい。入口で貸し出されるスリッパも滑るため、薄手の滑り止め付き靴下を持参すると安心。


城下町さんぽ:地元の蕎麦屋・餅店・酒蔵で過ごすローカルな午後

丸岡城の周辺は派手な観光地ではないが、地元の人が通う名店が点在している。城から徒歩10分ほどの**「新保屋(しんぼや)」**は、福井名物のおろしそばが味わえる老舗。冷たい蕎麦に大根おろしと鰹節をのせただけのシンプルな一杯(700円前後)が、驚くほど旨い。福井のそばは太めで歯応えがあり、東京京都のそばとはまったく別物だ。

少し足を延ばせば、地酒を扱う**「久保田酒造」**にも立ち寄れる。丸岡の湧き水で仕込んだ純米酒は、辛口で食中酒にぴったり。試飲もできるので(無料〜300円程度)、日本酒好きなら見逃せない。

城のすぐ近くでは丸岡名物の「あんころ餅」も外せない。餅をこし餡で包んだ素朴な和菓子で、1パック350円程度から購入できる。桜の下で食べれば、それだけで最高のピクニックになる。


金沢からの日帰りルートと知っておきたいアクセスの落とし穴

金沢から丸岡城への日帰りは十分可能だが、いくつか注意点がある。最もスムーズなルートは以下の通り。

金沢駅 →(JR北陸本線/ハピラインふくい・約40分)→ 丸岡駅 →(京福バス・約15分)→ 丸岡城

ここで最大の落とし穴──丸岡駅からのバスは本数が非常に少ない。1時間に1本あるかないかで、最終バスも早い。事前に京福バスの時刻表を必ず確認してほしい。タクシーなら丸岡駅から約1,500円で城まで行ける。

裏技: 2024年に北陸新幹線が福井駅まで延伸した。金沢から福井駅まで新幹線で約30分、福井駅からバスで丸岡城へ約40分というルートも使える。本数は福井駅発の方がやや多い。

レンタカーがあれば東尋坊(車で約25分)や永平寺(約30分)とセットで回れるので、時間に余裕があるなら車が最も自由度が高い。


丸岡城は、日本の城巡りに「もうひとつの選択肢」を与えてくれる場所だ。人混みもなく、飾らない本物の歴史がそこにある。次の旅では、金沢から少しだけ足を延ばしてみてほしい。きっと、**「来てよかった」**と思える一日になるはずだ。