広島、地元民の目で見る——平和記念公園の先にある日常
広島、地元民の目で見る——平和記念公園の先にある日常
正直に言おう。広島を訪れる観光客の大半が見るのは、平和記念公園、原爆ドーム、そして時間があれば宮島の三点セット。その後は新幹線で大阪か東京へ戻る。これって、ニューヨークに行って9.11メモリアルだけ見て「制覇した」と言うようなものだ。
誤解しないでほしい。それらの場所が重要でないと言っているのではない。ただ、広島は120万人が暮らす生きた街で、みんな飯を食い、酒を飲み、野球について熱く語り、お気に入りの隠れ家を持っている——他の日本の街と何も変わらない。3年住んで気づいたのは、ガイドブックが完全に見落としている広島の存在だ。そして正直、そっちの方が俺は好きだ。
本当の広島——地元民が実際に時間を過ごす場所——について話そう。
誰も教えてくれない街
横川:観光客が本通りで肩をぶつけ合っている間、地元民は広島駅から可部線で10分北の横川(180円)で普通に買い物をしている。純粋な、フィルターなしの日本の下町生活がここにある。
ここには「宝来軒」という1950年創業の喫茶店がある。70代と思しきマスターが自家焙煎の豆で淹れるコーヒーを、きちんとした陶器のカップで出す。450円でタイムトラベルできる。平日の朝に行けば、新聞を読む常連のおじいさん、出勤前に駆け込むサラリーマン、そして観光客はゼロ。
牛田:市中心部の東側にある丘陵地帯は、広島の若いクリエイター層が集まる場所だ。アストラムラインで牛田駅へ(中心部から240円)。牛田神社周辺は、静かに個人経営のカフェや雑貨店のミニハブになっている。ナガネコーヒースタンドは、市内で一番のエスプレッソだと本気で思う。
草津:南部郊外だが、山陽本線の新井口駅(190円)から、倉庫街がゆっくりジェントリフィケーションしている地域に着く。週末には工芸品やヴィンテージ服のマーケットが開かれる。だが重要なのは「八昌」というお好み焼き屋だ。地元民は市内の有名店よりここが上だと主張する。
お好み焼きの話(正しい向き合い方)
ここで誰かを失望させるかもしれないが:お好み村、24店舗が入るあの4階建てビル?悪くはない。でもあれは基本的にフードコート版お好み焼きだ。
本当のことを言えば、広島風お好み焼きは超ローカルな食べ物で、各地域に30年通い続けられている店がある。カウンター8席、店主が一人で全部やって、英語メニューなんてあるわけがない。
江波のれいちゃん(広電5号線で江波まで約40分、270円)が個人的な最愛だ。80歳くらいの小柄な女性店主が一人で、瞑想的な精密さで各お好み焼きを作る。壁には広島カープの選手——観光客じゃない——の写真。そばは完璧な焦げ具合で、ネギは惜しみなく。現金のみ、待つ覚悟を、そして頼むから自分でひっくり返したりソースをかけたりしないこと。
江波が遠ければ、八丁堀のみっちゃん本店はまあまあだ。今はチェーンだが、八丁堀店は1950年の発祥で、それなりの意味がある。
草津の八昌?餅入りバージョンがある。変に聞こえるが、中毒性がある。食感のコントラストが素晴らしい。
プロのヒント:標準版なら「肉玉そば」を注文。「ネギだく」を追加すれば大量のネギ(常に価値あり)。基本は800〜1,000円。
地元民が実際に飲む場所
流川・薬研堀周辺が広島の本当の夜の街だ。少し怪しく、観光客向きではないが、22時以降の街の本性が出る場所だ。
Bar Moonwalkは小さな店で、6席くらい。東京の有名カクテルバーで修行して広島に戻ってきたマスターが、地元食材で本格カクテルを作る。四国の酢橘を使ったジントニックとか。1杯1,200〜1,500円だが、他の客と話し込んで予定より遅くまで居座る種類の店だ。
もっとカジュアルなら、八丁堀近くの立ち飲み升一は広島牡蠣と地酒専門。19時頃には仕事帰りの客で満員。生牡蠣(1個350円)とおすすめの日本酒を。スタッフはよく分かってる。
広島を理解したいなら、この街が広島カープに取り憑かれていることを知る必要がある。シーズン中はマツダスタジアムへ(山陽本線で向洋駅、200円)。外野席1,500円で、雰囲気は最高。みんな赤を着て、選手ごとに決まった応援があり、階段を登るビール売り子は驚異的な運動能力だ。ここが広島のリビングルーム。
みんなが行くべき日帰り旅行(宮島じゃなく)
宮島は美しい。でも日帰り旅行の時間があるなら、呉線で呉へ行け(45分、500円)。
呉は元海軍都市で、複雑な歴史を持つ。大和ミュージアムは史上最大の戦艦(ここで建造され第二次大戦で沈んだ)の物語を語る。でもミュージアムを超えて、呉自体が時間が止まったような港町で、港に向かって丘が連なり、旧海軍建物がカフェに転用され、広島県内で最高の海鮮がある。
千畳閣で昼食を。その朝入った魚を使った定食。ビニールクロスとNHKが流れるテレビの店だが、刺身は馬鹿みたいに新鮮で安い——1,200円で巨大なセット。
丘の住宅街を歩けば、急な細い道と古い木造家屋、隙間から見える港。ジブリ映画に入り込んだようだ。そんな地区にあるユタカコーヒーは、老夫婦が改装した家で営む店。猫が窓辺で寝ている間、コーヒーと手作りケーキを出す。
これが消えゆく日本——高齢化し、人口が減る港町。素晴らしい骨格と不確かな未来。メランコリックで、同じくらい美しい。
実際に住んでる人間からの実用アドバイス
交通:PASPYカードを買うか、東京のSuica/PASMOがそのまま使える。路面電車は最初混乱するが、理解すれば便利。市内は全て220円、降りる時に払う。
いつ来るか:桜なら4月の縮景園(平和公園より空いてる)、紅葉なら10月下旬から11月。夏は残酷に湿気る——南日本だから。
現金:思うより多く持て。チェーン店やホテルはカード可だが、地元の店はほぼ現金のみ。
滞在期間:マジで一日
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