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金沢、混まない過ごし方——地元民が週末に行く本当の場所

2026-05-13·10 分で読める
金沢、混まない過ごし方——地元民が週末に行く本当の場所

金沢、混まない過ごし方——地元民が週末に行く本当の場所

京都が混みすぎてるから金沢へ、という人が増えたのは知っている。実際、その判断は間違っていない。でも問題は、ほとんどの観光客が同じルートを辿ること。兼六園、ひがし茶屋街、21世紀美術館、そしてサンダーバードで京都へ戻る。その間、地元民が本当に愛する金沢には誰も足を踏み入れない。

石川に住んで6年、月一回は金沢で週末を過ごしている私が、観光ガイドに載らない「本当の金沢」を紹介したい。

誰も語らないエリア:寺町・野町

ひがし茶屋街に観光客が殺到する一方、地元民が過ごすのは寺町と野町だ。このエリアには70以上の寺が密集している——江戸時代の防衛ラインとして設計された名残だが、観光地と違って今も地元の人が使っている寺ばかり。お参りするおばあちゃん、境内を近道として通る高校生、そして観光バスはゼロ。

妙立寺(忍者寺)から始めてもいいが、正直なところ、仕掛けにそこまで興味がなければ1000円と事前予約の手間をかける価値は微妙。むしろ天徳院や大乗寺をぶらつく方がいい。どちらも無料で美しく、ほぼ貸切状態だ。

寺町の真価はその周辺の街並みにある。せせらぎ通りには老舗が軒を連ねる。1689年創業の諸江屋は味噌屋だが、興味を示せば発酵について店主が延々と語ってくれる。麦味噌は約600円。東京では手に入らないタイプだ。

昼食なら観光客向けの懐石は忘れて、野町駅近くの蕎麦屋「大安」へ。毎朝手打ちする蕎麦は売り切れ次第終了で、週末は午後2時頃には閉まる。鴨南蛮そば950円は、空港の蕎麦を二度と食べられなくする味だ。

近江町市場は時間帯が命

近江町市場はガイドブック定番だが、タイミングが全て。観光客は10〜11時にどっと押し寄せるが、地元民は朝7〜8時か午後1時以降に買い物する。

そして地元民は市場で海鮮丼を食べない。申し訳ないが、2500円の海鮮丼は新鮮でも観光価格だ。代わりに魚を買って別の場所で食べるか、近江町が本当に得意なものだけを狙う。

買うべきもの:山さんの焼きホタテ(2個400円ほど)、大野水産の生ウニ(旬でない日は正直に教えてくれる)、高木糀の甘酒。1830年創業の高木糀商店の生甘酒は、神社で飲む甘いやつとは別物。濃厚で土っぽく、ほぼ旨味。300円。

地元の裏技? 11時半に片町か香林坊まで5分歩き、デパ地下へ。めいてつ・エムザやダイワの方がコスパの良いランチ定食があり、魚の質は同等。刺身定食が1200〜1800円で、冷房の効いた空間で食べられる。

地元民が飲む場所:片町の路地裏

片町は金沢の繁華街だが、観光客は竪町通りより奥へ行かない。本当の夜は片町と犀川の間の路地裏にある。

夕方はまず香林坊近くの「もりもり寿し」へ。チェーンだが地元チェーンで、回転寿司形式なら3000円以下で素晴らしい寿司が食べられる。地元のサバ(粕漬け焼き鯖が狂おしいほど美味い)と、あればのどぐろを。開店直後の17時なら並ばずに済む。

その後は川に向かって横丁バーで迷子になろう。西茶屋街が注目されるが、片町の立ち飲み屋で地元民と出会える。「立呑み割烹つくし」は12人ほどしか入れない立ち飲み居酒屋。店主は21時には自分も半分酔っぱらっていて、自家製の奈良漬を必ず勧めてくる。ほとんどの料理が300〜600円。2500円で高級懐石より満足できる。

クラフトビール派なら「Oriental Brewing」。東京の企業生活を捨てて金沢でビールを醸造する男が営み、地元産大麦を使った金沢ゴールドエールは800円。

一つ警告:「スナック」に誘われたら、ママさんがいるホステスバー領域。怪しくはないが高い。席料だけで3000〜5000円。経費で来るサラリーマンの場所であって、地元民が自腹で行く場所ではない。

日曜の過ごし方:犀川散歩道と卯辰山

私が金沢で実際にやる怠惰な日曜日プラン:寺町から卯辰山まで犀川沿いを歩く5kmループ。桜の季節以外は地元民がジョギングしたり犬を散歩させたりする、完璧な散歩道だ。

犀川大橋から上流へ。桜並木と伝統家屋が続くが、ひがし茶屋街のような商業化はない。小さな庭の手入れをする地元民や、川の鯉に餌をやる老夫婦とすれ違う。

卯辰山に着いたら森の小道を登る。標高140mの本格的な坂なので、ちゃんとした靴で。頂上からは街全体と能登半島まで見渡せる。

東側に降りればひがし茶屋街近くに出るが、ここからがプロの動き:メインストリートはスキップして、福光屋の酒蔵へ。1625年創業で、試飲室では500円で6〜7種類の日本酒を試せる。スタッフは本当に詳しく、気取らずに違いを教えてくれる。

昼食はひがし茶屋街裏の「じゃのめ寿し本店」へ。1958年からある地元民の祝い事用の店。2500〜4000円のランチだが、板前が常連を覚えていて、米の炊き加減が完璧な店。回転寿司との差は魚の質ではなく、米と魚の熟成。奮発する価値がある。

地元民っぽく過ごすための実践的なコツ

金沢はまだ現金重視。小さな店や市場はカード不可が多い。着いたらセブンイレブンのATMへ。

本当の観光トラップはひがし茶屋街の金箔ショップ。金沢が日本の金箔の99%を生産しているのは事実だが、金箔コーヒーも金箔アイスも金箔コスメも不要。高いし正直ダサい。

ベストな土産は地元茶店の加賀棒茶か、冬の近江町市場の干し柿。どちらも地元民が実際に使うもので、軽い。

金沢の良さは、博物館的な保存都市ではなく、今も人が暮らす本物の街であること。最高の体験は、メインルートから外れて、地元のビジネスマンが食べている店で食べて、気になる店に臆せず入ること。きっちりした旅程は京都に任せて、金沢では呼吸する余地を残そう。

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