地方の花火大会——小さな夏祭りこそが日本の花火の真髄
地方の花火大会——小さな夏祭りこそが日本の花火の真髄
日本の花火大会というと、100万人が押し寄せる隅田川や多摩川の大規模大会を思い浮かべる人が多いだろう。午後2時には場所取りが必要で、終わったあとは駅で2時間身動きが取れない、あの花火大会だ。確かに規模も演出も圧巻だし、素晴らしいのは間違いない。
でも10年以上日本に住んでわかったのは、本当の花火の魅力は、名前も知らないような小さな町にあるということだ。人口8000人の町が総出で、年に一度の30分間の花火を楽しむ。軍事作戦のようなブルーシート争奪戦もなく、川岸に普通に座れる。アナウンサーが観客の半分を名前で知っている——そんな花火大会だ。
今年の夏は、有名な大会をスキップして、小さな町の花火を見に行ってみてほしい。
地元の祭りに紛れ込む心地よさ
長野に住んでいたとき、隣人に勧められて小布施町のろくさん祭りの花火を見に行った。「小さいけどいいわよ」という言葉通り、人口1万1千人の町に集まった観客は5000人程度。午後7時に着いて——開始1時間前だ——それでも川岸の良い場所が取れた。場所取りバトルもなければ、警備の規制線もない。家族連れがレジャーシートを広げ、高齢夫婦が折りたたみ椅子に座り、子どもたちがコンビニで買った線香花火を楽しんでいる。
都会の花火大会では、知らない人たちに囲まれて、ベストポジション争いがまるでスポーツだ。でも地方の花火大会は、近所の集まりに招待されたような雰囲気がある。実際そうなのだ。屋台を切り盛りしているのは地元のPTAの親たち。アナウンサーはたぶん市役所職員。最初の花火が上がった瞬間、周りの人たちと一緒に息をのむとき、ただの見物人ではなく、コミュニティの一員として何かを共有している感覚になる。
花火そのものは30〜40分かもしれない。でも正直、それで十分だ。首も痛くならないし、途中で飽きることもない。「もっと見たかった」と思いながら帰るのは、「やっと終わった」と安堵するよりずっといい。
屋台の食べ物が圧倒的にうまい
大規模花火大会の誰も教えてくれない真実——食事が最悪だということ。江戸川の花火大会では、段ボールみたいな味の焼きそばが800円。20分並んで、誰かの肘が脇腹に刺さりながら食べる羽目になる。
小さな町の祭りは全く違う。まず価格が良心的だ。焼きそば300〜400円、焼き鳥500円、ビール200円。諏訪湖祭湖上花火大会(そこまで小規模ではないが、地元感は強い)で食べたたこ焼きは400円で6個入り。作っているのは何十年も技を磨いてきたであろうおばあちゃんで、熱々で最高だった。
それに、地元の名物に出会える。岐阜の田舎の花火で炭火焼きの鮎を食べたことがある。静岡の山間部では富士宮焼きそば——独特のコシのある麺とキャベツを使った、普通の焼きそばとは全然違うもの——が食べられる。東北に行けば、ずんだを使った甘味も。
そして何より、ちゃんと座って、まともに食事ができる。レジャーシート(地元民が使う青いブルーシート)を広げて、きちんとしたピクニックにする。これが日本人の本当の楽しみ方だ。家から弁当を持参して、屋台で何品か買い足して、チューハイやビールを開けて(祭りでは路上飲酒OK)、一晩楽しむ。クーラーボックスを持ち込んで何品もコースを並べたり、カセットコンロで自分で焼いたりしている家族も見かける。
プロのアドバイス:祭りの前に地元のスーパーに寄ろう。おにぎりや唐揚げ、ポテトサラダなど、美味しそうなものを買っておく。屋台だけに頼るより、安くて美味しい。
帰りの悪夢がない
東京の大規模花火大会が終わったあとの光景を想像してほしい。午後9時半、80万人が同じ3つの駅に向かう。駅の入口は完全に人で埋まり、警察がメガホンと笛で誘導している。プラットフォームにたどり着くまで45分から2時間。電車は200%の乗車率で、腕も動かせず、誰かに足を踏まれて、知らない人の脇の下と親密になる。中央線や東西線で遅延が発生したら(必ず起こる)、家に着くのは深夜だ。
一方、小さな町の祭りの帰り道は——駅まで歩く。少し人はいるが、おしゃべりしながら、疲れた子どもを抱っこした親たち。次の電車まで10分待つ。座れる。1時間以内に出発地点に戻れる。
この差は圧倒的だ。私は今、観光客があまり使わないJRローカル線や私鉄でアクセスできる祭りを積極的に探している。茨城の鹿島川の花火(鹿島線)、静岡の天竜川まつり(天竜浜名湖線)、群馬の利根川の花火——いずれも地元民中心で、驚くほど快適だ。
私の探し方はこうだ。人口5万人以下の町で、主要都市から最低1回は乗り換えが必要な場所。この「乗り換え」がフィルターになって、直通じゃないと行かないカジュアル層を排除してくれる。
本当に得られるもの——地域の暮らしを覗く窓
私が地方の花火大会に通い続ける理由は、花火そのものではない(もちろん素晴らしいが)。日本のコミュニティが、ありのままの姿でいる瞬間を見られるからだ。
小さな町の祭りでは、三世代の家族が一緒に座っている。かき氷スタンドの横で、ティーンエイジャーがぎこちなく恋のやりとりをしている。たぶん50年間同じ祭りに来ているであろう老夫婦がいる。地元の商店会や消防団のボランティアたちが、本当に意味のあるイベントを作り上げている姿が見える。
外国人だからか、家族のピクニックスペースに招待されたこともある。町の祭りの歴史——豊作祈願から始まり、戦争中は中止になり、また復活したこと——を年配の男性が教えてくれた。子どもたちが緊張と真剣さで太鼓を叩く姿は、都会のプロの演奏では決して見られない。
小さな町がどれだけ自分たちの祭りに誇りを持っているか。これは大手制作会社や企業スポンサーが運営するイベントではない。地元企業が資金を出し、コミュニティのボランティアが運営し、この伝統を守りたいと心から思っている人々が集まる。その違いは、肌で感じられる。
地方花火めぐりの実践ガイド
**花火の見つけ方
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